何も植村さんのようにチョモランマに登らなくても、堀江さんのようにソーラーボートで世界を一周しなくても、僕達のすぐそばに冒険は転がっている。
いつもの日常からちょっとだけ足を踏み出してみる...これが僕のいう冒険だ。
例えば普段使わない道をわざわざ通って会社へ行ってみる。
家に風呂はあるけれど、敢えて銭湯に出かけてみる。
ほんの些細な冒険を重ねていくうちに、見落としていたこと、気付かなかったことが、
霧が晴れるように少しずつ鮮明になっていく。こんなところにこんな店があったのか...
この銭湯の富士山にはこんな桜の花びらが描かれていたのか...。こんな発見を見逃してはいないだろうか。冒険の落とし穴は「な〜んだ」
にある。どんな小さな発見も、好奇心を持たずに接するならば、それは冒険ではなく日常に成り下がってしまう。
その証拠に通勤・通学の道沿いの店の名を君は言えない。
画用紙を渡されても、銭湯の壁に咲く富士桜を写し描けはしない。
冒険家と名乗るにはちょっと気恥ずかしいかもしれない。
けれど君がもし、その花びらの1枚だけでも、画用紙にくっきりと描くことが出来るのなら、もう冒険家への第一歩を踏み出しているのである。
|